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日韓基本条約 ― 北朝鮮に対する補償は不要

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Common Sense:筋を通した日韓交渉

日本政府は足かけ14年もの交渉で筋を貫き通して、
              「完全かつ最終的な解決」にこぎつけた。
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■1.「植民地支配 『韓国に個人補償義務』」■

「植民地支配 『韓国に個人補償義務』 朴政権当時の文書公
開」。日本経済新聞1月17日付け夕刊の一面にこう大きく報
道された。2面には「40年前の攻防 日朝に影響も」と題し
て、詳細な報道がされている。[1]

 1965年に日本と韓国が戦前の関係を清算して新たに外交関係
を築くための日韓条約を結んで、今年はちょうど40年目にあ
たる。その当時の議事録や報告書などを韓国政府がこのたび公
開した。

 それによると、日本からの無償3億ドル、有償2億ドルの経
済協力によって、両国の財産・請求権の問題は解決済みであり、
以降の個人補償の義務は、すべて韓国政府が負うということが
確認された。韓国の太平洋戦争犠牲者遺族会は即日、韓国政府
を相手に補償を求める裁判を起こすと発表した。

 なんのことはない。韓国の元「従軍慰安婦」が日本政府相手
に補償を求める裁判を起こしたりしていたが、これもお門違い
だったわけだ。それを韓国政府は知らんぷりを決め込んでいた
のであり、なぜか日本政府も両国国民に分かる形で明らかにし
なかった。

 この交渉経過を追ってみると、当時の日本政府が安易な妥協
を排し、筋を貫き通した見事な外交姿勢を示した事が窺われる。
そこには現在の韓国との外交関係を考える上でも、将来の日朝
交渉に臨む上でも、国民一人一人がわきまえておくべき「外交
の常識」がたっぷり含まれている。

■2.戦勝国として賠償を求めようとした韓国■

 日本が連合国との講和条約を結んだ1951年のサンフランシス
コ講和会議[a]に、韓国は戦勝国として参加を希望したが、連
合国はこれを認めず、この条約によって日本に賠償を要求する
ことはできなかった。

 それも当然で、大東亜戦争勃発当時に上海にあった「大韓臨
時政府」は、日本に対して宣戦布告をしたきり、内部抗争を続
けるのみであった。一方、朝鮮半島では昭和18年、6千3百
人の志願兵募集に対して、実に30万人以上の韓国青年が応募
した。結局、最終的には24万人が軍人・軍属として出征、う
ち2万1千余人が戦死して靖国神社に祀られた[b]。日韓は一
体として大東亜戦争を戦ったのである。戦後、急に「戦勝国」
として講和会議に出席したいなどと言い出しても、連合国が取
り合うはずがない。

 講和会議での「賠償」とは「戦争賠償」という意味で使われ
ており、戦争の結果として敗戦国から戦勝国に支払われる金銭
や役務を意味している。ちなみに日本政府は北朝鮮を除くすべ
ての相手国に対して戦争賠償を完全に済ませており、このあた
りがドイツとは違う所だ。[c]

■3.「不当な植民地支配を謝罪し、補償せよ」■

 サンフランシスコ講和会議で門前払いを食わされた韓国は、
日本との直接交渉によって謝罪と賠償を勝ち取ろうとした。
1951(昭和26)年10月から始められた予備交渉では、オブザ
ーバーとして出席したシーボルトGHQ(占領軍総司令部)外
交局長によれば、韓国代表は「過去40年にわたる朝鮮におけ
る日本の行動に対して」、あたかも「起訴でもするかのような
調子の演説を行い」「日本を破産させてしまうほどの巨額な賠
償支払いを要求」した。[2]

 第1回の本交渉でも、金溶植公使が植民地支配による「破壊
と国民の犠牲」に対して、「賠償を要求するのは当然のことだ」
と力説し、「日本が過去の対韓植民地政策を謝罪し、過去に締
結したすべての条約、協定書などを無効にする措置」を要求し
た。日本による植民地併合は国際法上も違法であったから、1910
年の日韓併合条約は最初から無効であり、それゆえに日本によ
る統治のすべてが違法で、それを謝罪し、補償すべきだという
論法である。

「補償」とは、「損失を補填する」という意味合いで使われる
が、国家間の場合では、国際法上の違法行為に対する償いとい
う意味で使われる事が多い。「戦勝国」という立場からの「賠
償」をあきらめた韓国は、今度は「不当な植民地支配」という
日本の違法行為による「被害者」として、補償を求めたのである。

■4.併合は違法か?■

 これに対して日本側は、朝鮮は「国際法上、国際慣例上、普
通と認められた方式により取得され、世界各国とも久しく日本
領として承認していた」と反論した。各民族が独立して、自前
の国家を持つのが良い、という思潮が広まったのは第一次大戦
後であり、現実となったのは第2次大戦後である。それ以前は
いくつかの民族が一つの「帝国」として、力を合わせていくの
が、富強への道と考えられていた。イングランド、スコットラ
ンド、ウェールズ三国で同君連合を組んでグレートブリテンを
なし、さらにアイルランドと連合王国を構成した大英帝国はそ
の典型である。[d]

 ロシア、清、日本に挟まれ自立できない朝鮮が、日本に併合
され、一体となって生きていく事は、東アジアの安定化につな
がる道として、欧米諸国からも承認された。またその手続きも
両国が合意の上、「日韓併合条約」として結ばれたもので、国
際法上も適法なものだった。

 1965年8月、韓国国会韓日条約特別委員会で李東元・外務部
長官は「大韓帝国と日本国間で結ばれたすべての条約と協定は
過去日本の侵略主義の所産であり、我々の民族感情や日本の韓
国支配が不満であったという我々の基本的立場から見るときに
当然、無効だったということはいうまでもありません」と答弁
した。これは親が結んだ合法的な契約を、息子が「不満」だか
ら無効だと言っているのと同じ理屈である。こういう言い分が
通るなら、どんな契約や条約も好き放題に破棄できるわけで、
国際法、国際常識を無視した言い分である。

■5.「日韓(併合)条約は当時、法的に有効に締結された」■

 日本側は、日韓併合条約は合法であったという見解を崩さず、
最終的には「もはや無効であることが確認された(日韓基本条
約第2条)」との表現で決着した。かつては合法であったか否
かは言及せず、現時点では無効となったという妥協である。

 しかし条約には「謝罪」の言葉はなく、また韓国政府も併合
を違法として、その「補償」を求める事ができなかったという
結果を見れば、日本側の主張する国際法と国際常識が通ったと
言える。

 ちなみに、日韓併合条約が法的に有効であったという立場は
現在も維持されており、社会党の村山首相ですら「日韓(併合)
条約は当時、法的に有効に締結された」(平成7年10月参議
院本会議)と述べている。それに続けて「しかし、政治的、道
義的評価とは別の問題であり、政府としては朝鮮半島のすべて
の人々に対し、過去の深い反省と遺憾の意を表明してきた」と
述べた。

 これはたとえて言えば、昔は先進国でも女性が選挙権を持て
なかったことに対して、現時点で感情面で「遺憾であり、反省
する」とは言えても、それに対して「謝罪し、補償する」こと
はできないのと同じである。過去の合法的行為を、現代の法で
裁くことが許されるなら、現在の合法的行為も未来に非合法と
されるやもしれず、それでは法治社会は成立しえない。過去の
合法行為に対しては、感情面で「遺憾・反省」はしても、法的
次元で「謝罪・補償」をする必要はないのである。

■6.日本側にも請求権がある■

 こうして戦時賠償も併合の補償も拒否された韓国に残された
道は、財産の「請求権」だけであった。日本からの分離・独立
に伴って国家および民間の財産をどう分割し、清算するか、と
いう純粋に経済的な問題である。

 ここで韓国側は自国の日本に対する請求権しか認めないと主
張したのに対し、日本側は日本にも韓国に対する請求権がある、
と反論し、両者は真っ向から激突した。ライシャワー米駐日大
使は「日本は敗戦に際し、韓国に三十億−四十億ドルの財産を
残してきた」と発言していた[3]。また政府資産はともかく、
私有財産は50万人もの朝鮮半島在住の日本人が正当な経済活
動によって築いた財産であり、これを一方的に韓国が接収する
のは違法である、という主張である。

 日本側の久保田寛一代表は、後に参議院水産委員会でこう報
告している。

(会談の)劈頭(へきとう、冒頭)早々、向こうの方から
日本側の請求権はない、請求権の問題として考えられるの
は韓国側から日本に対する請求権だけであるというので、
日本側として・・・対韓請求権は放棄しておらないという
議論に入らざるを得なかったわけです。

 そうすると向こうは、・・・もし日本の方でそういう要
求を出すことが前から分かっておったら、韓国側の方では
朝鮮総督の三十六年間の統治に対する賠償を要求したであ
ろうといいました。そこで私どもとしては、・・・もし韓
国側でそういう要求を出しておれば日本側は総督政治のよ
かった面、例えば緑の山に変った、鉄道が敷かれた、港湾
が築かれた、また米田が非常にふえたというふうなことを
反対に要求して韓国側の要求と相殺したであろうと答えた
わけでございます。[e,f,g]

 これに対し、韓国側は「発言は韓日会談の基礎を完全にぶち
こわすものである」「そのような発言を全面的に撤回しない限
り、会談は続行できない」と抗議し、また韓国内でも「七十年
前の侵略性から一歩も抜け出していない」と大反発が起こり、
日韓交渉は中断やむなきに至った。

■7.「会談全般を一方的に破壊した責任は挙げて韓国側にあり」■

 しかし、日本国内ではこの久保田発言を支持する意見が大勢
を占めた。外務省は「我方説明は正当、かつ充分なりとの立場
を持し、些々(ささ)たる言辞を殊更に歪曲し、会談全般を一
方的に破壊した責任は挙げて韓国側にありといわざるを得ず、
遺憾に堪えない次第である」との情報文化局長談話を発表した。

 朝日新聞は「政府声明にもある通り、韓国側の態度には、
『些々たる言辞を殊更に歪曲し、会談全般を一方的に破壊した』
ものと見られる節があるのは誠に遺憾」と日本政府の立場を支
持した。

 野党でも左派社会党の鈴木茂三郎委員長は、日本は李(承晩)
政権になめられていると語り、勝間田清一は「がん固なことを
いうものは孤立させる。何も韓国ばかりが相手でないという外
交的態度が必要だ」と述べた。当時の朝日新聞も社会党も、外
交に関してはきわめて健全な見識を持っていた。

■8.「完全かつ最終的に解決された」■

 日韓会談は4年間の中断を経て、アメリカの仲介もあって
1958(昭和33)年に再開される。アメリカが出した「日本は対
韓請求権を放棄するが、韓国は対日請求に際してそのことを考
慮して法外な要求をしない」という見解を日本側は受諾した。

 当時、韓国内で主張されていた請求権は15億ドルから百億
ドルという法外なものであった。その内容は韓国に本社をおく
企業の在日資産、韓国民の所有する日本国債・公債、被徴用韓
国人の未支払金・戦争被害の弁済などだったが、韓国側の提出
した証拠を日本側で査定した所、総額7千万ドルにしかならな
かった。

 このためもあって、韓国側も対日請求権を取り下げる代わり
に、日本側がそれを含めた経済援助を行う、という案が浮上し、
結局、無償3億ドル、長期低利の借款2億ドル、さらに3億ド
ル以上の民間借款提供で合意に至った。1961年当時の韓国の輸
出額が年間4千万ドル足らずであるから、その20年分に相当
する額である。また日本側にとっても外貨準備高18億ドルの
半分近い額で、並大抵の金額ではなかった。大平外務大臣は池
田首相に8千万ドルまででまとめろ、と指示されており、その
10倍の妥結額に首を覚悟したほどである。

 しかし、この金額により「両締約国は、両締約国及びその国
民(法人を含む)の財産,権利及び利益並びに・・・請求権に
関する問題が,・・・完全かつ最終的に解決されたこととなる
ことを確認する(第二条)」とされたのである。

 韓国政府は日本から受け取った資金を、農業近代化、中小企
業育成、昭陽江多目的ダム・浦項製鉄所・京釜高速道路建設に
投入し、韓国政府の公式統計では、「漢江の奇跡」と呼ばれた
朴正煕政権下の急速な経済成長の2割は日本資金によるものと
された。[4]

「完全かつ最終的に解決された」とは、戦争被害者も含めてす
べての個人補償も以降は韓国政府の責任となることを意味し、
朴政権は日本からの資金の一部を使って、旧日本軍の軍人・軍
属として死亡した人々に補償を行い、また郵便貯金や銀行預金
などの金額返済を行った。

■9.日韓交渉に示された見識■

 こうして足かけ14年に及ぶ日韓交渉をふり返ると、なりふ
り構わぬ韓国側の主張に対して、日本政府は国際法と国際常識
の筋を一切曲げずに粘り強く交渉し、しかも最終的には「完全
かつ最終的」な解決までこぎつけた功績は見事なものであった。
また当時のマスコミや野党もそれを支持するだけの見識を持っ
ていたと言える。

 しかし、1990年に訪朝した自民党の金丸信・元副総理と社会
党の田辺誠・副委員長が、「過去に日本が三十六年間朝鮮人民
に与えた大きな不幸と災難、戦後四十五年間朝鮮人民がうけた
損失について、朝鮮民主主義人民共和国に対し、公式的に謝罪
を行い十分に償うべきであると認める」などという合意をして
きたのは、日韓交渉の成果を踏みにじるものであり、政治家と
して不勉強・不見識の極みとしか言いようがない。

 02年9月に小泉首相が北朝鮮を訪問した際には、請求権に関
して日韓条約と同じく財産・請求権を放棄する経済協力方式を
採用することで合意している。金丸・田辺の暴走をなんとか日
韓交渉の線まで押し戻したという所である。

 なにかと言うと謝罪を要求し、それをテコに補償やODAを
まきあげようとする近隣諸国に囲まれた我が国では、国民一人
一人が日韓交渉に示された国際常識を受け継いで、日本政府に
筋の通った対応を要求する必要がある。

■リンク■
a. JOG(206) サンフランシスコ講和条約
 「和解と信頼の講和」に基づき、日本は戦後処理に誠実に取り組み、
        再び国際社会に迎えられた。
b. JOG(190) 「お家の事情」の歴史観
「抗日史観」を国家の「背骨」にせざるをえない韓国の「お家の事情」。
c. JOG(118) 戦後補償の日独比較
 ドイツは誠実、日本は逃げている?
d. JOG Wing No.163 併合と植民地化の違い
e. JOG(005) 国際交渉の常識
 日本の朝鮮統治の悪しき遺産?!
f. JOG(056) 忘れられた国土開発
 日本統治下の朝鮮では30年で内地(日本)の生活水準に追いつく事を
        目標に、農村植林、水田開拓などの積極的な国土開発が図られた。
g. JOG(204) 朝鮮殖産銀行の「一視同仁」経営
 朝鮮農業の大発展をもたらしたのは、日本人と朝鮮人の平等・融和の
        チームワークだった。

■参考■
1. 日本経済新聞、「植民地支配 『韓国に個人補償義務』 朴政
権当時の文書公開」、H170117
2. 明日への選択、「日韓交渉に見る日朝交渉の問題点」、H12.12
3. 産経新聞、「日韓交渉当事者…韓国元高官が回顧録 日本の資
金協力は高度成長の肥料」、H9.05.20
4. 西岡力、「戦後補償の欺瞞(上・下)」、月曜評論、H12.6-7.

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

■「筋を通した日韓交渉」について

水産国さんより
「北朝鮮とは賠償も責任も済まされていない」と書かれていま
したが、実は私が得た情報によりますと、北朝鮮の分の補償金
も韓国政府に日韓基本条約の段階においてすでに支払っている
とのことです。

 そもそも、日韓基本条約では朝鮮半島全域において、日本も
韓国も、日韓基本条約第3条において、合法国家として認めて
いるのは韓国のみで北朝鮮は国として認められておりません。

第三条 大韓民国政府は、国際連合総会決議第一九五号
(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一
の合法的な政府であることが確認される。

 したがって基本条約において、朝鮮半島全域を代表するのは
韓国政府のみであり、これを日韓共に認めたことであって北朝
鮮に支払う補償の分も韓国が朝鮮半島全域を代表としてすでに
受け取っているということとなります。

 よって、北朝鮮に戦争賠償を支払うなど、責任を済ます行為
は日韓基本条約を破る行為となるということです。

■ 編集長・伊勢雅臣より

 韓国側の解釈は、ご指摘の通り、自分たちが朝鮮半島の唯一
の合法政府であり、日本の経済協力は北朝鮮の分も含んでいる、
ということになります。となると、北朝鮮が経済協力を欲する
なら、韓国が受け取った分から分けて貰う、というのが筋です。
(現在の韓国が、この解釈を維持するかどうか、怪しいものですが。)

 しかし、日本側の解釈では、ここで引用された国連決議は
「朝鮮における唯一のこの種の政府」としてあり、「この種」
とは「韓国が支配している地域の」であると解し、北朝鮮につ
いては全く触れられていない、としています。そして将来、北
朝鮮とも独自の国交を結ぶこともあり得る、と説明しています。
(参考文献[4])

 将来の外交上のフリーハンドを残しておこうという当時の日
本外交の深慮遠謀がここにも窺えます。 

===============================================
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  • 2018.11.18 Sunday
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コメント
伊勢様、

北朝鮮への賠償について知りたいと思い、こちらのサイトに行きつきました。
現在勉強中のものです。

以下の「水産国さんより」による記載について、私が得た情報によりますととありますが、具体的なソース元を記載して頂けませんか?事実が正しいかこれではわかりません。

>実は私が得た情報によりますと、北朝鮮の分の補償金
も韓国政府に日韓基本条約の段階においてすでに支払っている
とのことです。
  • 菊池裕輔
  • 2018/05/01 10:55 AM
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